薬局で調剤してもらう薬には値札がついてないので、お会計になるまで、いったいいくらかかるのかわかりません。
調剤薬局のくすりの値段は、薬局の手数料(=技術料)とくすり自体の値段(=薬剤料)の合計です。
今回はくすり自体の値段についてのコラムです。
こんにちは。合同会社YAKUDACHI代表社員の鈴木重正です。
私は薬局を経営し、また自身も薬剤師として自分の薬局で働いています。
そんな私のちょっとした違和感があるのですが、それはお会計で患者さんに金額を伝えるとき。
「〇〇円です!」
と言い切りますが、そこにはちょっとした違和感が・・・
いきなり「〇〇円です」と、言われても・・・
例えばスーパーで夕食の買い物をしているとき、自分でキャベツが100円だから買おうとか、きゅうりは250円だからちょっと高いからやめとこうとか、値札を見ながら、買うのか買わないのかを自分で決めてレジに行きますよね。
なので、「合計で○○円です。」と、言われても自分で選んだ商品の合計額だから納得できますが、薬局のくすりはそもそもお医者さんが選んだ薬だし、値札も貼ってないからいくらかもしらないもの。
そんな患者さんに向かって「○○円です!」と言い切るときに違和感を感じます。
そもそも薬局の会計の内訳は?
薬局の会計は薬剤師さんの手数料である「技術料」と薬自体の値段である「薬剤料」の合計です。
薬局の会計=技術料+薬剤料
技術料については詳しくはコラム「薬局によってこんなに違う手数料(=技術料)とは」をご参照ください。
今回は薬局の会計のうちくすり自体の値段である「薬剤料」についてお話します。
薬剤料は単純に処方された薬の値段(=薬価)にその数量をかけたもので
薬剤料=薬価×数量
となります。
薬価は概ね年1回改定されます(2018年までは隔年)。ただし、薬局の薬には値札が付いているわけではないので、患者さんが気付くことはあまりありません。
直近では10月の消費税増税に伴って改定がされているので、毎月薬局で薬をもらっている方の中にはお会計の時に気づかれた方もいるかもしれません。
薬価は改定のたびに下がる(=安くなる)
薬価は基本的には改定のたびに下がる傾向にあります。
これはそもそもの改定の計算式がつぎのようなものだからです。
新薬価= 当該既収載医薬品の診療施設における 薬価算定単位当たりの平均的購入価格 +調整幅(旧薬価の2%)
言い換えると市場実勢価格(つまり全国の薬局の仕入れ価格の平均)+旧薬価の2%となります。
薬局の仕入れは薬価の7~9%引き程度
ここ10数年は薬局の仕入れは薬価の7~9%前後で推移しており、上記計算式に当てはめると、薬価改定では5~7%前後値下がりすることになります。ただし、これは2018年までは薬価改定が2年に1回実施だったためです。つまり、値下げが2年に一度しか行われなかったのですが、2019年以降は事実上、毎年改定が予定されているため、一回の改定での値下げ幅はもう少し小さく(3%前後に)なることが予想されます。
薬局M&A、薬剤師独立支援の合同会社YAKUDACHI代表社員 社長
大手調剤薬局チェーンにて薬局現場勤務、事業会社取締役、ジェネリック医薬品メーカー立ち上げの後、グループ全体のM&Aを担当。M&A業界では稀有な薬剤師M&A担当者としてソーシングからPMIまで一貫してリード。
2019年、M&Aを利用した薬剤師の独立支援を目的に合同会社YAKUDACHI設立。また、自分自身もM&Aにより薬局を譲受し調剤チェーンより独立。北海道千歳市にすずき薬局開設し、管理薬剤師登録。
プライベートでは2男1女の厳しく、頼られる父親像を思い描きながらも、家庭は嫁と娘に支配されている。
幼少期からの夢だった大型犬を飼いたくて、現在、稟議申請中。