薬局によってこんなに違う手数料(=技術料)とは

お医者さんや薬局の会計はとにかくわかりづらい。「〇〇円です」と、言われて何も考えずに払えるのは、私の場合はせいぜい2000円程度まで。それを超えると、何にどれだけお金がかかっているのか知りたくなります。また、病院であれば今日の会計が、診察が終わるまで決まらないのは理解できます(どんな治療をするか決まってないため)。ですが、薬局の場合、そもそもお医者さんの処方箋に従って調剤するので、今日の会計が処方箋をもらった時点で事前にわかってもよいのでは、とも思います。

こんにちは。合同会社YAKUDACHI代表社員の鈴木重正です。今回のコラムでは難解な薬局の会計のうち、薬剤師さんの手数料である技術料についてお話します。

薬局の会計=技術料+薬剤料

薬局によって違う技術料とは?

実は技術料というのは正式名称ではなく、調剤技術料と薬学管理料のことです。

ですが、一般的な理解では薬局の手数料はすべて技術料と言って問題ありません。

技術料=薬局の手数料

この技術料の中で、どの薬局でも共通のものと、薬局によって違うものがあります。

(全薬局共通の技術料)

調剤料:言葉通り薬を調剤(取り揃え)する料金。風邪薬5日分は250円。イソジン1本は100円。

一包化加算:複数の錠剤を1パックにする料金。1週間分で340円。

計量混合調剤加算:複数の薬を混合する料金。子供のシロップ剤(鼻水のくすりと咳止めの混合)は1本350円。など

(薬局によって違う技術料)

調剤基本料:処方箋1枚あたりのベース料金。60円~1030円。処方された薬の内容にかかわらず毎回算定する料金。

ただし、調剤基本料が低い薬局が良い薬局とは一概には言えません。例えば最安値の調剤基本料60円の薬局は、厚生局の求める卸売業者との取引内容の開示を拒み、さらに必要な届け出をも怠り、ジェネリック医薬品の使用率20%以下の薬局ということになるので、(おそらく日本に1件も存在しませんが)あまり行きたくなる薬局ではありません。

調剤基本料の内訳は?

前述した一部の例外的な薬局を除いては、調剤基本料の内訳は次のとおりです。

調剤基本料=基本料1~3+後発医薬品調剤体制加算+地域支援体制加算

それぞれ詳しくは下記の通りです。

基本料1:処方箋1枚あたり420円 多くの薬局が算定している一般的な基本料

基本料2:処方箋1枚あたり260円 月間数千人の患者がくる儲かってる薬局向け基本料

基本料3:処方箋1枚あたり160円もしくは210円 薬局の種類ではなく、その運営会社が大企業の場合の基本料 いわゆるタケノコ薬局(大病院前にずらずらある薬局)対策の基本料

後発医薬品調剤体制加算1~3:処方箋1枚あたり180円~260円(後発品の割合により異なる)

地域支援体制加算:処方箋1枚あたり350円 国の定める様々な基準(在庫品目数や教育体制、在宅実施の有無など)をクリアした薬局のみ算定可能な点数。

最も高い組み合わせは

基本料1+後発医薬品調剤体制加算3+地域支援体制加算=1030円  基本料3のみ算定の薬局(150円)との差額は処方箋一枚あたり880円 となります。

この一枚あたり880円という差額をどうみるかですが、地域の(とくに田舎の)小さな薬局を守るためには必要と言えます。薬局のメインユーザーは病気のおじいちゃんおばあちゃんなので、住んでる家のそばに小さくても薬局は必要だからです。ただし、都会でイソジン一本処方されただけの若者には、この差額は受け入れられないのではないでしょうか。

技術料の低い薬局の探し方は

薬局の技術料はネットで検索してもでてきませんが、実はそれぞれの薬局の中に掲示物として技術料が書いた紙が貼ってあります。恐らく誰もちゃんと見たことはないと思いますが、保険薬局の必須掲示物の一つなので、どこの薬局に行っても必ずあります。ただし、個々の薬局に行く前に、その技術料を知る方法は今までありませんでした。

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