お医者さんでもらった処方箋を持って薬局に行くと、受付の人によく聞かれる「ジェネリック医薬品で調剤しますか?」という質問。結局何が違うのかよくわからいまま、なんとなく答えていませんか?
こんにちは。合同会社YAKUDACHI代表社員の鈴木重正です。
今回のコラムは日本中の薬局のカウンターで、きっと毎日、数万人もの人が聞かれている質問「ジェネリック医薬品で調剤しますか?」に自信をもって答えるために、役立つ知識として下記3点をご紹介します。
・そもそも先発品とは?ジェネリック医薬品とは?
・ジェネリックが安いと聞くけど、会計はどのくらい違うのか
・先発品のようなジェネリック 「AG」ってなに?
そもそもジェネリック医薬品って?
なんとなく特許が切れた薬で、会計が安くなるってことはわかるんだけど、詳しく
はあまり知られていないと思います。Wikiによると・・・
後発医薬品(こうはついやくひん)、ジェネリック医薬品(英: generic drug, generic medicine[2])とは、先発医薬品の独占的販売期間の終了後に発売される、先発医薬品と同じ有効成分で効能・効果、用法・用量が原則同一であり、先発医薬品に比べて低価格な医薬品である。販売名は、各統一ブランド名称の後ろに剤型と「会社名(屋号)」となっている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
なんだか難しい定義が書いてありますが、有効成分が同じで使い方も同じってことみたいです。
なお、「有効成分が同じ」って、じゃあ何が違うの?ってことですが
いわゆる先発品とジェネリック医薬品の中身の違いは添加物です。例えば錠剤を作るときに固めるための糊の役割をする物質や、かさ増しのために加えるものをいいます。
ジェネリック医薬品として国の認可を受けるためには様々な条件をクリアしなくてはなりません。有効成分が同一であることはその一つですが、添加物は同じでなくても認可を受けることができます。
もちろん、同じ添加物でジェネリック医薬品を作ることができます。ただ、先発医薬品が医薬品としての承認を取ってから、10年以上たってから発売されるジェネリック医薬品ですので、当然、新しい添加物の成分や製造方法が開発され、それに応じて先発品とは違う添加物を選択するジェネリック医薬品も多くあります。
たまに、私が薬剤師をしている薬局の患者さんの中にも「ジェネリックは使ってる添加物が違うらしいけど、ちゃんと効くの?」といった質問をされる方がいますが、薬の効き目に添加物はほとんど関係ありません。
ジェネリックにすると会計はどのくらい安くなるか
会計金額に関しては、その人それぞれの保険負担割合や、そもそもの処方内容によって金額が変わってくるので一概には言えません。
ただ、薬局の手数料(技術料)を除いた薬自体の値段(薬剤料)は最低でも5割引き(多くは6~7割引き)になります。
一般的な生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病など)の患者さんの定期薬の場合、その保険点数は1,000点くらいです。保険点数は1点10円なので、保険を使わずに全額自己負担とすると10,000円のお会計となりますが、一般的な3割負担の患者さんの場合には3,000円の会計となります。
この場合、薬局の手数料(技術料)が2,800円前後なので、薬自体の値段(薬剤料)は7,200円です。
ジェネリック医薬品にした場合、6割引きになると仮定すると、薬自体の値段が2,880円(7200円の6割引き)ですので、薬局の手数料と合計して5680円。その3割負担なので1700円前後となります。
つまり、もともと3,000円のお会計が1,700円ですので、ざっと4割引きくらいになります。
結構、大きいですね。
先発品のようなジェネリック、AGって何?
AGは略称で Authorized Generic (オーソライズド ジェネリック)、オーソライズは許可という意味で、具体的には先発品を作ったメーカーから独自に許可を受けたジェネリック医薬品です。
通常、ジェネリック医薬品は先発品メーカーの特許が切れてから(多くは発売10年後に)、販売開始されますが、AGは先発メーカーから特許期間中にもかかわらず発売が認められるため、ほかのジェネリック医薬品が発売になるまでの期間、世の中でただ一つのジェネリックとなります。
これは販売戦略上、極めて大きなアドバンテージとなります。AGがない場合には、先発品の特許切れと同時に数十社のメーカーからジェネリックが同時に発売されますが、AGは他社に先駆けて発売されているため、他社が発売したときには、すでに患者さんの中ではジェネリック変更が終わっていることになります。
ただし、このAG、発売から数年後には高いジェネリックとなっているため、薬局の会計を安くしたい方は注意する必要があります。詳しくは コラムあなたの飲んている薬は高いジェネリックですか?安いジェネリックですか? を参照してください。
薬局M&A、薬剤師独立支援の合同会社YAKUDACHI代表社員 社長
大手調剤薬局チェーンにて薬局現場勤務、事業会社取締役、ジェネリック医薬品メーカー立ち上げの後、グループ全体のM&Aを担当。M&A業界では稀有な薬剤師M&A担当者としてソーシングからPMIまで一貫してリード。
2019年、M&Aを利用した薬剤師の独立支援を目的に合同会社YAKUDACHI設立。また、自分自身もM&Aにより薬局を譲受し調剤チェーンより独立。北海道千歳市にすずき薬局開設し、管理薬剤師登録。
プライベートでは2男1女の厳しく、頼られる父親像を思い描きながらも、家庭は嫁と娘に支配されている。
幼少期からの夢だった大型犬を飼いたくて、現在、稟議申請中。