薬局のお会計が安くなる、そう聞いてジェネリックに変更したはずが、いつの間にか自分が「高いジェネリック」を飲む羽目に・・・。そうならないために知っておくべきことをお伝えします。
こんにちは合同会社YAKUDACHI 代表社員の鈴木重正です。私は以前、大手調剤薬局チェーンに勤めていた際、グループ内でジェネリック医薬品メーカーの立ち上げを担当していたことがあります。普段は薬局でジェネリック医薬品を調剤する側の薬剤師としてかかわっていましたが、ジェネリック医薬品を製造する側として初めてかかわり、薬剤師の私にとっても多くの驚きがありました。その一つが”同じ材料、同じ工場の同じ製造ラインで複数の会社のジェネリック医薬品を製造していて、しかも値段がバラバラで高いジェネリックも安いジェネリックもある”ということ。
ジェネリック医薬品はそもそも会計が安くなると聞いて変更しているはずなので、わざわざ高いジェネリックなんて飲みたくないですよね。
ジェネリック医薬品に複数の価格が存在することは、一般にはあまり知られていません。例えば、高血圧の代表的な薬であるアムロジピン錠5mgで比較すると
ノルバスク錠5mg(先発品) 1錠 40.6円
アムロジピン錠5mg「QQ」 1錠 20.7円
アムロジピン錠5mg「サンド」1錠 10.1円
いずれも執筆時点(2019年11月) 著者調べ
先発品のノルバスク錠が1錠あたり40円なので、ジェネリックのアムロジピン錠5mg「QQ」に変更すると1錠あたり20円と、半額になります。
ジェネリック変更でお会計が安くなった感じがしますが、実は、アムロジピン錠5mg「サンド」は1錠あたり10円のため、「QQ」は「サンド」の2倍の値段になってます。
通常は「ジェネリックに変更しますか?」と聞かれるだけなので、その銘柄までは指定できません。自分が希望したわけではないのに高いジェネリックを飲むことになってしまいます。
このような「高いジェネリック」はどうやって避けたらよいでしょうか?
薬局がどんなジェネリックを採用しているか知る方法
多くの薬局では、ジェネリック医薬品の採用は、一つの成分あたり、一品目のジェネリックとなっています。自分が通う薬局が高いジェネリックを採用しているのか、安いジェネリックを採用しているのか通常はわかりません。
また、一つの先発品に対して数十社から発売されているジェネリックの価格を一つ一つ調べて薬局に在庫を依頼するのは現実的ではありません。
スマホアプリ「kusurine」を使用すれば自分の処方されている薬を登録薬局の在庫と照らし合わせて会計を比較することができます。各薬局ごとの基本料金も反映されているため、是非ダウンロードしてください。
安いジェネリックの品質は?
いくら値段が安くても、医薬品なので低品質なものは飲みたくありません。
ただ、ジェネリック医薬品の品質と値段は全く関係がありません。これは日本の薬価制度(薬の値段の決め方)によるものです。詳しくはコラム「薬の値段(=薬価)はどう決まるの?」を参照ください。
また、ジェネリックに限らず日本の医薬品メーカーの品質基準は極めて高いので、すべての医薬品の品質は高いと言えます。
どのジェネリックも安心して飲むことができる以上、高いジェネリックを飲む理由はありません。
薬局M&A、薬剤師独立支援の合同会社YAKUDACHI代表社員 社長
大手調剤薬局チェーンにて薬局現場勤務、事業会社取締役、ジェネリック医薬品メーカー立ち上げの後、グループ全体のM&Aを担当。M&A業界では稀有な薬剤師M&A担当者としてソーシングからPMIまで一貫してリード。
2019年、M&Aを利用した薬剤師の独立支援を目的に合同会社YAKUDACHI設立。また、自分自身もM&Aにより薬局を譲受し調剤チェーンより独立。北海道千歳市にすずき薬局開設し、管理薬剤師登録。
プライベートでは2男1女の厳しく、頼られる父親像を思い描きながらも、家庭は嫁と娘に支配されている。
幼少期からの夢だった大型犬を飼いたくて、現在、稟議申請中。