ジェネリック医薬品の選び方

一つの先発品につき多い場合には数十社が販売するジェネリック医薬品。どのジェネリック医薬品があなたに最も適しているか、ご存じでしょうか。

こんにちは。合同会社YAKUDACHI代表社員の鈴木重正です。

今回のコラムでは通常、患者さんが説明されることのない「どのジェネリック医薬品を飲むべきか」につきお話しします。このコラムを参考にしていただき、是非、ジェネリック医薬品を選べる患者さんになってください。

一つの先発品に対するジェネリックは一つじゃない

代表的な高血圧の薬「アムロジピン錠5mg」(先発品はノルバスク錠5mg)を例にとると、2019年12月現在、31銘柄のジェネリック医薬品が発売されており、その価格は1錠10.1円、16.5円、20.7円のいずれかとなっています。その一例を下記に示します。

アムロジピン錠5mg「サンド」錠  1錠10.1円  サンド株式会社販売

アムロジピン錠5mg「タイヨー」錠 1錠16.5円  武田薬品工業販売

アムロジピン錠5mg「QQ」錠    1錠20.7円  武田薬品工業販売

同じアムロジピン錠ですがそれぞれ「サンド」、「タイヨー」、「QQ」と括弧書きの中の名前が違います。この括弧書きは「メーカー名(屋号等)」と定められています。ただし、右の販売会社名を見ると、武田薬品工業は違う屋号で同じ成分のジェネリックを販売していることがわかります。一般的な感覚からすると、同じ成分のジェネリックで同じ販売会社であれば、なんで二つも?と、不思議かもしれませんが、ジェネリック医薬品業界では珍しいことではなく、これは武田薬品に限った話ではありません。

値段が高ければ高品質なジェネリック、とは限らない

まず言えるのは日本で販売されている医薬品は総じて高品質だということ。ジェネリック医薬品に限らず全ての医療用医薬品の製造には、厚生労働省及びその下部組織PMDAの厳しい品質基準が適用されます。原料原薬の調達先から、製造所、製造工程まで審査対象となるため、品質の低い医薬品は世に出てこない仕組みがとられています。

また、ジェネリック医薬品の値段(=薬価)は品質とは全く無関係に決まります。詳しくはコラム「薬の値段=薬価はどう決まるの?」をご参照ください。

メーカーが異なるジェネリックも原材料は同じ

医薬品の主成分である原材料(原薬と言います)は、多くの異なるメーカーのジェネリック医薬品で共通です。ジェネリック医薬品の製造メーカーは数十社あっても、原薬の製造メーカーは一つの原薬に対して2~5社程度なので、同じ原薬で製造しているメーカーが多くあることになります。例えば前述のアムロジピン錠に関しては、国内では1社の原薬メーカーが大部分を供給しているので31銘柄ものジェネリック医薬品が発売されていても、実はその主成分(=原薬)は同じと言えます。

同じ添加物であればそもそも同じ生産ライン(同じ工場)の場合が多い

ジェネリック医薬品はメーカーが異なっても主成分(=原薬)が同じというのは前述の通りですが、主成分以外の原料(=添加物)が同じ組み合わせのジェネリック医薬品の場合は、そもそも同じ生産ラインで作っていると考えられます。これは、医薬品の承認申請の仕組みに由来します。日本の医薬品の承認申請は複数の製造メーカーでシェアすることができるため、一つの製造販売承認で複数メーカーのジェネリック医薬品が製造されています。製造販売承認はその製造場所(つまり工場)や添加物、原薬の調達元を決めて申請するため、複数のメーカーが承認をシェアしているジェネリック医薬品の場合、同じ原薬、同じ添加物、同じ工場ということになります。違うのはくすりの名前と包装、ついている値段だけです。

同じ生産ライン、同じ原料、同じ添加物でも薬価は違う

複数のジェネリック医薬品が同一の製造販売承認をシェアしている場合、工場や原料、添加物まで同じになるのは先述通りですが、くすりの値段(=薬価)はメーカーによってバラバラです。同一時期に販売開始された場合には初めの価格は同一になりますが、発売時期が異なる場合や、薬価改定を経るとメーカーごとに薬価が変わります。くわしくはコラム「 薬の値段=薬価はどう決まるの? 」を参照ください。つまり同じ原料、添加物を使って同じ生産ラインで生産された医薬品が、そのメーカー名が異なるだけで値段が違うことになります。

薬価と品質は無関係、どの薬局が安いジェネリックを採用しているかがわからない

薬価とその品質は無関係なので、高いジェネリックよりも安いジェネリックを飲みたいところですが、問題はどの薬局に安いジェネリックが採用されているか、外からはわからないということです。実際に処方箋を持って薬局に行き、調剤されたジェネリック医薬品の薬価を調べて初めて高いジェネリックを調剤されたのか安いジェネリックを調剤されたのかがわかります。ただ、それだと高いジェネリックの場合、なんだか損した気分になりますし、事前に会計がわかる方法があれば良いのですが。

スマホアプリ”kusurine”を使えば薬局ごとの会計が比較できる

薬局ごとの会計を比較できるアプリ”kusurine”を利用すれば、事前にどこの薬局に処方箋を持っていけば最も安くなるか、薬局ごとの会計が比較できます。